平成24年(ネ)第6085号事件     2012年10月24日 控訴人  槌田敦 被控訴人 東京大学、小宮山宏、濱田順一、住明正、明日香壽川 控訴理由等補充書 東京高等裁判所 第21民事部 御中 控訴人  槌田敦    平成21年(ワ)第47553号謝罪広告等請求事件(第1事件)、および平成23年(ワ)第10874号損害賠償請求事件(第2事件)の東京地裁判決(2012年8月28日)に関し、最大の争点である「三段論法の誤謬」について控訴理由および立証方法を陳述しました(9月27日付)。ここにその他の争点を含め、控訴理由および立証方法について補充いたします。 第一、控訴理由(続き)  被告東京大学らは、東京地裁での結審にあたり最終書面を提出しなかった。そのため、原告の主張に対して被告らが「否認ないし争う」とした事項の多くは、どのように否認するのか、またどのように争うのか、被告が主張をまとめないまま結審となった。  しかし、被告らが提出した書証と準備書面等に加えて、被告明日香の本人尋問により、争点に関する被告らの主張は基本的には明らかとなっている。ところが東京地裁は、その明らかになった主張をはぐらかし、恣意的に不完全な主張に戻すことによって、判決に合うように被告の主張を推定することを可能にし、被告有利の判決にした。  したがって、まず、東京地裁判決で取り上げた争点に関する主張を双方の書証と準備書面等と明日香証言など証拠により差し替える必要がある。  次に、このようにして本件の争点を明確にすることに加え、原告が地裁に申請したが却下された、被告小宮山、被告濱田、被告住の証人尋問により、被告らが原告の推測等としている部分の補強が必要となる。また、被告明日香の証人尋問の後に提出した被告明日香陳述書の意味を明確にするために被告明日香の証人尋問の追加も必要となる。 当事者(判決p1,1行〜26行)     第1事件、第2事件原告 槌田敦     第1事件 被告 東京大学、住明正     第2事件 追加した被告 小宮山宏、濱田順一、明日香壽川 主文(判決p2,1行〜3行)について、上記の趣旨に従い変更した事実により主文の全面的                変更を求める。 事実および理由(p2,4行) 第1、請求(5行)  1 第1事件(6〜18行)  印刷配布禁止等および慰謝料の請求  2 第2事件(19〜22行)慰謝料の請求、およびこれを資金にして本件書籍に反論する書籍を作成し、名誉毀損の原状の一部回復を図る 第2 事案の概要(p2,23行)  1 事案の要旨(p2,24行〜p3,5行) 配信の差し止めと慰謝料の請求  2 前提事実(6行) 証拠(甲7)により容易に認められる事実   (1)(7〜14行) 本件書籍『地球温暖化懐疑論批判』のはじめにには、判決に記述され    た文章が存在する。ただし、「9項目の記載」ではなく「9項目の特徴」である(甲7, )。ここに判決の予断と意図が隠されており、判決における「記載」という記述を証拠(甲7)に基づき「特徴」に戻す。 (p3,15行〜p4,2行) アからケまで9項目は9項目の「特徴」である。   (2)(3〜19行) 本件書籍には科学とは無関係な多数の悪口雑言が記載されている。  3 争点及び争点に対する当事者の主張(20行)  (1)被告東京大学による名誉毀損の成否(21行)  (原告の主張)(p4,22行〜p5.12行) 判決において、原告の主張が作り変えられて     いるので認められない。次の文章に差し替える。   ア「本件書籍において、東京大学は原告ら12名の学説に対して9項目の悪意ある特徴を貼り付け、また東京大学は原告らの36項目の議論を取り上げて、その議論が間違いであると断じた。学者相互に学説批判をすることは必要であり、この場合多少の行き過ぎがあっても言論応酬として許される。しかし、東京大学が直接これらの学説に対し悪意の特徴を貼り付け、また学説批判をすることは、東京大学という権威により科学者としての尊厳が著しく傷つけられることになるから名誉毀損である。また、9項目の特徴および議論1から36のうち33の議論には著者名がなく、全面的に東京大学の責任である。(原告最終準備書面)」 イ「被告東京大学は、準国家機関であって表現の自由を持たず、また国民の学問の自由を守る立場であるから、東京大学が学説に対して特徴を貼り付けて難じたり、学説の間違いを指摘することは許されない。また、上記の行為は、国立大学法人法第22条、第29条でいう業務の範囲を超えており、同法に違反する。さらに、東京大学の権威および印刷・配布能力は、原告ら個人の能力をはるかに超え、学説論争に必要な対等の条件は存在しない。(原告最終準備書面)」   ウ(p5,13行〜p6.14行)は、被告の主張(弁明)に対する原告の反論であり、被告の    主張(弁明)を書いて、その後に原告の反論としなければ、意味不明の記述となる。そこで、次に述べる(被告らの主張)の後に(原告の反論)の項を新しく起こし、この(原告の主張)ウを移動する。   (被告らの主張)(p6,15行)   ア(16〜21行) 以下の文章に差し替える。    「9項目の特徴は、懐疑的あるいは否定的な見解が存在することを前提に、同見解に対する反論・論評を記載したのであって、原告外を名指しして、誹謗、中傷、侮辱、個人攻撃しているわけではない(第一事件答弁書)。」   イ(p6,22行〜p7,7) 以下の文章に差し替える。    「本件書籍の目的は専ら公益を図ることにあり、その前提とする事実は主要な点で真実であり、原告の人身攻撃に及ぶなど論評の域を逸脱したものではない(第一事件答弁書)。」   ウ(p7,8行) 地裁判決では「本件9項目の記載のうち、代表的な例」の5項目としてい    るが、被告準備書面3によれば、「被告は9項目の特徴ごとに代表例を述べる」としている。また、地裁判決ではこの「特徴」を単に「記載」とし、また、「原告を名指ししての特徴5項目」を単なる5項目の「代表例」と改変している。以下の文章に差し替える。      「本件9項目の特徴のうち、原告を名指ししての特徴は次の5項目である。」    (ア)(9行〜11行) 以下の文章に差し替える。     「特徴@(既存の知見や観測データを誤解あるいは曲解している)について、議論14において、原告は観測データを誤解あるいは曲解している。一貫して上昇するCO2濃度は人為起源である(乙9)。」    (イ)(12行〜15行) 以下の文章に差し替える。     「特徴A(すでに十分に考慮されている事項を考慮していないと批判する)について、議論26において、温暖化論においても、温暖化の最大の原因は水蒸気であることを認めており、その効果は80〜90%としている(乙9)。」    (ウ)(16行〜20行) 以下の文章に差し替える。      「特徴C(定量的議論が進んでいる事項に対して、定性的にとどまる言説を持ち出して否定する)について、議論17において、温暖化論では6つの独立した定量的研究により森林の増加が得られている。しかし、懐疑論は定性的にとどまる言説を持ち出して否定する(乙9)。」    (エ)(21行〜25行) 以下の文章に差し替える。     「特徴F(問題となる現象の時間的および空間的なスケールを取り違えている)について、議論14において、懐疑論は問題の時間的スケールを取り違えている(乙9)。(原告の議論を4年程度とし、温暖化は100年程度とする意)。  また、議論31において、懐疑論は数万年後の氷河期を念頭においているが、温暖化論が問題とするのは数百年後の急激な温暖化であって、時間的スケールを取り違えている(乙8)。」    (オ)(26行〜p8,6行)     「特徴H(三段論法の間違いなどロジックとして誤謬がある)について、三段論法の誤謬」については提出済みの「控訴理由および立証方法」における被告らの主張を参照していただきたい。   (原告の反論) 原告の主張3(1)ウ(p5,13〜p6,14行)をこの場所に移転する。 原告の主張ウ(p5,13〜16行) 以下の文章に差し替える。     「原告を名指ししての上記5項目の特徴@、A、C、F、Hはいずれも真実ではない。また9項目の特徴のうち残り4項目は原告には関係がない。」    (ア)(p5,17〜19行) 以下の文章に差し替える。     「特徴@ 被告住は、議論14において原告の論理を「誤解・曲解」と断ずるが、図6(甲7,p32)では気温がCO2に先行する。原因は結果よりも先に起こるから、気温が原因でCO2濃度は結果と判断した。ここに誤解や曲解はない。  また図7(甲7,p33)で、水温の年増分とCO2濃度の年増分を比較して気温が先に現れるから原因でCO2濃度は後に現れるから結果と判断した。ここにも誤解や曲解はなく、自然科学的判断である。さらに、特徴@の真実性について被告住に釈明を求めた(原告求釈明書2)が、その回答はない。    (イ)(p5,20〜24行) 以下の文章に差し替える。     「特徴A 被告住は、議論26において、温暖化論においても水蒸気の効果は十分に考慮していると主張するが、その効果を80〜90%と固定している。このように固定すれば残りはCO2による変化ということになる。しかし、水蒸気濃度は気温により大きく変化し、温暖化は水蒸気濃度の変化に大きく影響される。水蒸気濃度が高いと、CO2の効果はほとんど現れない。したがって、水蒸気濃度の効果を固定して考えるのは間違いである。特徴Aでの「十分に考慮していない」が真実であるのかどうかについて被告住に釈明を求めたが、回答はない。 (判決p5,1〜5行)についての補足 原告は二酸化炭素に温暖化効果がないとは言っていない。寒帯や温帯の冬ではCO2に効果があるが、熱帯や温帯の夏では大量の水蒸気に隠れ、CO2の効果は現れない。」    (ウ)(p5,25行〜p6,3行) 以下の文章に差し替える。     「特徴C 被告住は、議論17において定量的研究により得られた森林の増加を主張するが、「森林は減少している」というFAOが発表した定性的な事実により否定されるような定量的研究は研究に値しない。特徴Cの真実性について被告住に釈明を求めたが、回答はない。」    (エ)(p6,4〜8行) 以下の文章に差し替える。     「特徴F 被告住は、議論14において、原告の議論に時間的スケールが取り違えられていると主張した。すなわち、エルニーニョがほぼ4年周期であることをもって、原告らの研究について「時間的スケールの取り違え」と断ずる。原告らの研究は、4年ではなく、35年間にわたる事実から結論を得ているので的外れの議論である。原告に貼り付けた特徴Fの真実性について被告住に釈明を求めたが回答はない。  被告明日香は、寒冷期の到達を数万年後と信じている(乙8)。しかし、温暖な平安期(〜1100年)から寒冷な鎌倉〜江戸期(1200〜1900年)への再現の可能性は現実の問題である。  空間的スケールの取り違えという特徴の貼り付けについては、被告住と被告明日香は、その代表例をあげることもできなかった。」    (オ)(p6,9〜14行) 以下の文章に差し替える。     「特徴H 被告住は、原告の議論18に「三段論法の間違い」があるとした。三段論法の間違いをする者は科学者と認められないから、悪質な名誉毀損である。そして、提出された被告準備書面3と被告住の陳述書(乙9)に記載されている文章は三段論法について意味不明の文章であって、これをもって原告の議論を三段論法の間違いと主張することはできない。  被告明日香は、住陳述書の解釈として三段の記述にまとめ、小前提が(被告明日香から見て)事実でないから三段論法の間違いと主張した。しかし、これは前提の事実に関する主張であり、ふたつの前提と結論の間の論理(ロジック)に関する主張ではなく、これをもって三段論法の誤謬とすることはできない。したがって、原告に貼り付けた特徴Hは真実ではない。  被告住に対し特徴Hの真実性について釈明を求めたが、回答はない。    (カ) 以下の文章を付け加える。     「原告に貼り付けた5項目の特徴はいずれも真実でなく、虚偽を掲げて名誉を毀損した。すでに述べたように、原告は被告住に対して、原告に貼り付けた特徴@、A、C、F、Hについて真実性の釈明を求めた(原告求釈明書2)が、被告住はこれに答えなかった。被告住は釈明答弁を放棄したと見なされ、被告住の主張はすべて否定される。また、繰り返すが、被告明日香の上記主張は被告明日香から見た小前提の事実に関する主張であり、三段論法などロジックの誤りとしたことが真実であると主張したことにはならない。」   (2) 被告小宮山は、本件書籍の発行について不法行為の責任を負うか   (原告の主張)(p8,8〜18行)を以下の文章に差し替える。    「(原告の主張) 被告小宮山は、2009年まで被告東京大学の学長であり、また東    京大学IR3Sの機構長であったが、政治的な立場はCO2排出削減による地球温暖化防止であり、その退任直前に『知の構造化で温暖化懐疑論に終止符を』というインタビューをおこない、退任後にその記事を発表した(甲7−7)。  その談話の内容は、『温暖化はウソだといった懐疑論も鳴りやみませんね』、『議論は収束するのでしょうか』という記者の問いかけに対して、被告小宮山は 『まるでゲリラ戦ですよ。でも、こういった議論は打ち止めにしたい』と述べて、その行動の予定を次のように語った。『私が代表を務めるIR3Sという組織が、懐疑論に反対する本を5月(予定)に出版します。東北大学の明日香壽川教授と(本学の)住明正教授が中心となって、きちんと反論しています』。  すなわち、東京大学による本件書籍の発行は、『温暖化懐疑論に終止符を打つ』または『打ち止めにする』ことを目的とした。この談話の目的を達成するため、東京大学は、その組織を活用して温暖化懐疑論の12名の科学者に対してその名誉を毀損した。」   (被告らの主張)(p8,19〜23行) 以下の文章に差し替える。   「(被告小宮山の主張) 被告小宮山は、『被告東京大学が出版することから議論を    打ち止めにできるという意図はない』とし、また『議論により決着を図るという意味である』(乙10、小宮山陳述書)と主張する。一方、『被告小宮山の認識は甲7−7記載のとおり(乙15、小宮山陳述書)』であり、ここに『こういった議論は打ち止めにしたい』という記述が存在することを否定していない。」 (3) 被告明日香は本件書籍の発行について不法行為責任を負うか   (原告の主張)(p8,25行〜p9,4行) 以下の文章に差し替える。   「(原告の主張) 被告明日香は、2009年5月、被告住とともに本件書籍とほぼ同一の    内容の私的印刷物(甲7−5)を発行した。これには9項目の悪意ある特徴に加えて、悪口・雑言が多数存在している。しかし、これは言論応酬の類いであり、影響力も小さいから、原告はこれをもって名誉棄損と主張するつもりはない。  しかし、これが、2009年10月に、東京大学の発行する書籍となることで東京大学の権威が加わり、また印刷・発行・配布するため文科省から300万円を超える資金を得、また東京大学が所有する配布ルートにより無料配布できて、その影響力による名誉毀損は甚大となった。  被告明日香は、『出版元に関しては、東京大学ではなく、どこの出版社でも良かった』(乙11)と陳述する。しかし、一般出版社であれば名誉毀損の問題は生じない。そこで、東京大学とほかの出版社の能力の違いを挙げて尋問すると『そうかも知れない』と認めた(明日香本人調書p18)。したがって、東京大学で発行する場合、その内容が名誉毀損との疑いが生じないように注意すべきであった。しかし、その注意義務を果たしていない。(甲23など)」   (被告らの主張)(p9,5〜7行)を次の文章に差し替える。    「(被告明日香の主張) 被告明日香は、私的文書を東京大学に提供するにあたっ    て、その内容について十分な検討をしている(第二事件答弁書)。」 (4) 被告住は、本件書籍の発行について不法行為責任を負うか。   (原告の主張)(p9,10〜14行)を次の文章に差し替える。    「(原告の主張) 被告住は、東京大学や気象学会などの組織が『価値観をともなう    活動をするのは問題であり、個人がやるしかない』と発言していた(甲19、気象学会会議録)。この趣旨に沿い、東京大学は明日香コメントの形で、Ver.3.0(甲7−5)を5月に発行した。このコメントに住被告は9項目の特徴のうち8項目の原案を書いて協力した(甲7−5,p7、乙9)。  ところが、これでは『東京大学が本を発行する』とする小宮山談話(甲7−7)は反故になる。この矛盾を抱えることになって、東京大学IR3S機構長の被告濱田は、東京大学が本件書籍を再発行することにしたものと思われる。この際、被告住は気象学会での被告住自身の発言との矛盾を無視し、IR3Sの決定に従うことにした。被告住がこの気象学会での発言の趣旨を守り、このIR3Sの決定に反対していれば、本件名誉毀損事件は存在しなかった。」   (被告の主張)(15〜17行)を次の文章に差し替える。   「(被告住の主張) 本件書籍は、被告明日香の活動について、本学IR3Sが評価    し、広く公表する意義があるものと考えて作成発行したものである(乙9、住陳述書)。求釈明書(2011年6月16日)に書いてある事実(甲19、気象学会会議録)は認めるが、その余は原告の推測である。被告住は統括ディレクターとしてIR3Sの判断に同意している(乙13)。」 (5) 被告濱田は、本件書籍発行について不法行為の責任を負うか。   (原告の主張)(19〜21行)を次の文章に差し替える。    「(原告の主張) 本名誉毀損事件の最重要の責任者は被告濱田である。東京大学    学長でもあり、また東京大学IR3S機構長でもある被告濱田が、東京大学による名誉毀損事件にならないよう注意すれば本件はなかった。  東京大学は準国家機関であって、表現の自由はなく、また国立大学法人法22条、29条によって、学説批判をしたり、また学説に特徴を貼り付ける業務は許されていない。まして、特徴が間違っていたり、悪意ある学説批判をする場合はなおさらである。したがって、被告濱田が、これらの注意をしなかったことは、本件の最大の原因者となる。(原告最終準備書面)」   (被告の主張)(22〜24行)を次の文章に差し替える。    「(被告濱田の主張) 本件書籍はあくまで科学の範囲に止まるものであり、また、    東京大学は、深く真理を探求して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供する(教育基本法7条1、学校教育法83条2)ことができる。そこで、本件書籍を広く公開する意義があると考え、作成発行した。したがって、注意義務違反はない。(乙12、濱田陳述書)。  なお、国立大学法人法22条、29条に定められた業務の範囲について、被告濱田は釈明していない。」 第3 当裁判所の判断(p10〜19)  上記した争点と主張により、地裁の判断を全面的に書き直す必要がある。  たとえば、この判決で取り上げた「 3 争点および争点に対する当事者の主張」における(3)被告明日香の責任(p8)、(4)被告住の責任(p9)、(5)被告濱田の責任(p9)では、(被告らの主張)はわずか1行半で、しかもすべて、「懐疑論批判が名誉毀損になるとはおよそ考え難く、被告(氏名別)に注意義務違反があるとはいえない」と同文である。  その目的は、判決に「本件書籍に関する原告の名誉毀損による不法行為の主張は理由がなく、本件書籍をIR3Sの事業の一環として出版した被告東京大学の行為についても不法行為が成立する余地がない」(判決p19)と書くために、これと同じ趣旨の主張を被告3人すべてが言ったと捏造したのであった。姑息なごまかしということになる。  しかも、審理過程において、何度も求釈明をおこなうなどして、原告は被告それぞれから準備書面、陳述書、証言を引きだし、被告明日香、住、濱田の3名それぞれの主張を明確にした。地裁判決は、原告がこのように苦心して被告から個別に引きだしたそれぞれの釈明をすべて存在しないことにした。これでは、正当な判断ができる訳がない。  特に、この地裁判決での判断において、最大の争点である「項目ケ(三段論法の間違いなどロジックとして誤謬がある)(p17〜18)」について、「三段論法の間違い」や「ロジックとして誤謬」があったのか、なかったのかを一切論じていない。つまり、姑息なごまかしというよりは、堂々とデタラメを書いて憚らない判決であった。 結論  以上述べましたように、本件東京地裁判決で取り上げた争点はごまかしを超えてデタラメで、しかも恣意的を超えて意図的です。このようなデタラメで意図的な争点を根拠にすれば、当然いたるところでデタラメな判断となります。  そこで、「地裁判決を引用する」というしばしば見られる高裁判決ではなく、高裁において正当に判断をしていただくため、まず地裁でまとめた争点を正していただくことが必要です。そして、これに加えて、原告の推測とされる部分について、被告小宮山、被告濱田、被告住、被告明日香からそれぞれ証言を得て、これら争点の立証を補強していただく必要があります。       以上